金沢を描く絵画コンクール
後援:金沢市教育委員会

第23回絵画コンクール入選発表

こどもたちに絵画を通してまち博に参加してもらおうと2002年に始まった作品コンクールは今年で23回を数えます。 今回も金沢のまちなみや営みがイキイキと描かれた力作が勢ぞろいしました。その中から選ばれた、優秀な作品を発表いたします。金沢美術工芸大学名誉教授 前田昌彦先生による審査の結果、大賞1点、準大賞1点、開催委員長賞1点、入賞15点が選ばれました。

「緑囲む金澤神社」

大賞深谷 心美 さん 兼六中学校3年

[選評]
朱色の拝殿と樹々の緑の対比がとても清々しく描かれています。構造物や自然の姿が色鮮やかに細部に至るまで描きこまれているばかりでなく、そこから生まれる光や澄んだ空気までもが画面を通して伝わってきます。作者の真っ直ぐな感性と精緻な観察力と画力に心打たれる作品です。

「あかり坂」

準大賞岡田 小雪 さん 高松中学校3年

[選評]
その名の通りあかり坂に差す陽光によって石段やよう壁の硬質感が浮かび上がるように的確に描写されています。色彩を抑制してほぼ直線のみで画面を構成しているにもかかわらず暖かさを感じさせるのはこの光の効果であると思います。

「尾山神社の正門」

開催委員長賞田向 正乃丞 さん 大浦小学校6年

[選評]
鳥居と神門を堂々と正面から捉えて、力強く単純化して描き切ったところに作者の健康な視線を感じます。黒の線描も効果的に色面を区切るとともにこの絵の骨格となっています。左右の木々の形の捉え方、押さえた色使いも主役の神門を上手く引き立てています。

入賞「兼六園」

岡村 いろは さん 森本中学校2年

[選評]
手前のサツキと呼応するように柔らかで変化に富む緑色が視線の奥まで続き庭園の広がりを見事に表しています。段差のある池の水面の描写は難しかったかと思われますが、ごまかさず真摯に取り組んだことはとても良いと思います。

入賞「金沢駅の雑踏」

新保 日菜実 さん 森本中学校2年

[選評]
これまで誰も描いたことのない構図で金沢駅の賑わいをとらえた作品です。重力を感じさせないほど傾けた床が絵にムーブメントを生み出しています。平面的に色は塗られていますが、空間表現は理知的に組み立てられています。

入賞「野村家庭園」

牧 姫生 さん 森本中学校1年

[選評]
湿度を含んだ名園の緑を上手く表しています。池の流動感がやや強いものの、水の透明感の表現には成功しています。画面の右半分を占める縁側とたたみの暖色が絵に活気をもたらしています。

入賞「金沢城」

古川 桜結菜 さん 兼六中学校2年

[選評]
ライトアップされた石川門に対する浮かぶ夜桜とぼんぼりの距離感を色の寒暖や明暗の効果を使って上手く表現しています。さまざまな光を色彩のみで描くことの面白さを見せてくれる作品です。

入賞「ひがし茶屋街」

神保 薫子 さん 兼六中学校2年

[選評]
透明水彩画の柔らかなタッチが見る人を快く絵の中にいざなってくれる作品です。左右対称の硬くなりがちな構図にもかかわらずしなやかな作者の感性によって魅力的な空間を作っています。

入賞「路地裏」

大野 紗良 さん 高松中学校3年

[選評]
落ち着いた色使いで金沢の路地の佇まいを絵にしています。奇をてらうことなく自然体で対象と向き合う姿勢そのものが歴史ある金沢のまちそのものの魅力と映ります。自分の感性を信じて他の場所も描いて見てください。

入賞「兼六園」

表野 愛佳 さん 高松中学校3年

[選評]
穏やかな兼六園の初夏を濁色をうまく用いて描いていて霞ヶ池に注ぐ水音までもが聞こえてきそうです。たっぷりとした不透明水彩絵の具が画面の隅々まで行き渡り絵に安定感をもたらしています。

入賞「金沢駅の顔」

寺山 比奈 さん 高松中学校3年

[選評]
これほど複雑な構造物と真摯に向き合って最後まで描き上げた集中力には目を見張るものがあります。色彩に対する感覚も清心なものがあり、新しく発展する金沢の未来を予感させる作品となっています。

入賞「輝く金沢の食文化」

徳田 悠乃 さん 北鳴中学校3年

[選評]
大きくリアルに描かれた食品に隠されて小さくたくさんの金沢の風物が描かれているところがユニークで秀逸です。描写力に加えて作者の発想力、デザイン力が感じられる楽しい作品になりました。

入賞「夜のひがし茶屋街」

中田 怜那 さん 金沢学院大学附属中学校3年

[選評]
一点に集まる構図によって視線が奥にいざなわれ、次に大きく区切られた黄色い三角に目が止まります。そして、最後にその黄色が照明で浮かび上がる茶屋街の石畳であることに気付かされるという絵の仕組みが面白いと思います。

入賞「金沢駅」

水貝 成希 さん 大浦小学校6年

[選評]
鼓門を堂々と画面いっぱいに描いていて実際の門の大きさを感じさせるところが良いと思います。左右の黒松も的確に形を捉えています。躍動するような線の流れが全体を一つの世界にまとめています。

入賞「灯ろう流し」

内糸 かほ さん 大浦小学校6年

[選評]
黄色と黒の微妙な濃淡のみで川面に浮かぶ灯ろうの光と水の流れの表現に成功しています。大小の灯ろうの配置も水の流れに乗る動きや奥行き感を上手く表しています。所々に書かれた文字も効果的です。

入賞「尾山神社」

河村 榛乃 さん 大浦小学校6年

[選評]
シャープな線とていねいな彩色で、神門の石積みの装飾やステンドグラスを中心に左右の樹木を描いています。作者のそのような描き方によって尾山神社の清浄な空気まで感じさせる作品となりました。

入賞「スイミング・プール」

鶴川 ゆき さん 米丸小学校5年

[選評]
誰もが知る「スイミングプール」を青一色で単純に描いているようで実のところ味わい深い作品になっています。必要最小限の線描のみで仮想的な水底の感じや水面からの揺らぐ陽光を見事に再現しています。

入賞「はるのあさのがわ」

上之 珠々葉 さん 森山町小学校1年

[選評]
いつも通る浅野川大橋を明るい色使いで描いてみたのですね。クレヨンと水彩で色々と工夫して色を作ってとても楽しい絵になりました。魚や鳥まで桜咲く春をよろこんでいるように見えます。

【展示会場】香林坊アトリオ(香林坊1-1-1) 1階及び2階にて、全作品を展示します。

展示期間:7月25日(木)~8月4日(日)10:00~19:00